高橋先生

※リブログ(再投稿)です。

 

私が小学3年生の時の話しです。

担任の名前は今でも忘れもしない高橋先生でした。

背の高い男の先生であだ名は「フランケン」でした。

その日は音楽でソプラノリコーダーの授業がありました。

当時、忘れ物の非常に多かった私ですが、その前の日はリコーダーの

練習をいっぱいいっぱいして、よーし明日の授業は完ぺきだ!と

思って登校したのに、、、肝心のリコーダーがない!!!

リコーダーが大好きだった私は内心大大大ショックでした。

しかも私の他にもリコーダーを忘れた生徒が2人いました。

先生は「予備のリコーダーは1本しか無いので、忘れた3名は教科書

を見ていなさい。」とおっしゃいました。

しかし、くやしくてくやしくて仕方なかった私は鉛筆をリコーダー

代わりにして、皆と一緒に吹く真似をして授業を受けました。

すると急に先生が皆の練習を止め、教室の一番後ろの私の席に近づいて

来られました。

わっ怒られる!と思った私のかわゆいかわゆい小さな胸は張り裂けん

ばかりに高鳴りました。

あの時の鼓動は今でも覚えているくらいです。

すると、先生は私に向かって厳しい顔で「植田君、君にはリコーダーを

貸してあげます。何故だか君には分かるね?」とおっしゃって、

その後一瞬微笑まれました。

もちろんクラスの友達は何が起こったのか知る由もありません。

おそらくすごく「ひいきや~」と思ったことでしょう。

でも高橋先生はすごく皆から信頼されていたので、

誰も何も私には言いませんでした。

私は嬉しくって嬉しくって、自分の指が他人の指に感じるくらい、

もう何を演奏しているのかも分からないくらいでした。

不思議なのですが、このことがあってから私は急に忘れ物をほとんどしない子になりました。

どんな授業も興味をもって受けるようになりまた。

好きな先生を裏切りたくないという気持ちからだけではありませんでした。

自分でも理由は分からなかったのですが、私の中で何かのスイッチが確実

に「パチン!」とオンになったのです。

あれは・・・まるで夢から目が覚めたような出来事でした。

皆さんにはそんな経験がありますか?