「質問の作法」と「解説の質」のジレンマ
日頃から中学生以上の生徒たちには、質問に来る前の「準備」を大切にするよう伝えています。
「わかりません」と丸投げするのではなく、「(問題集の)解説のここまではわかりましたが、この部分が理解できません」という風に、自分がどこまで歩み寄ったかを明確にしてもらうためです。これには、自分の思考を整理する力を養うという大切な目的があります。
しかし、指導を続ける中で、ある「現実的な壁」にぶつかることも少なくありません。
「解説」が必ずしも親切ではないという事実
市販の問題集や学校のワークの中には、限られた紙面スペースの都合上、解説の過程を大幅に省略したり、この解き方はまず思いつかないし本質から外れているというものであったり、逆にとても回りくどい解法をしている場合もあります。
生徒がいくら「研究」しようとしても、そもそも研究材料(解説)が不十分であったり、不親切であれば、そこで立ち止まってしまうのは大きな時間のロスになりかねません。
「悩む時間」と「教わる時間」のバランス
理想は、生徒が自力で答えに辿り着くこと。ですが、現実には受験や定期テストという「時間制限」があります。
- 自力で悩み抜く: 思考力はつくが、時間がかかりすぎるリスクがある。
- すぐに教える: 効率は良いが、受け身の学習になりやすく、身に付きにくい。
このバランスが非常に悩ましいところです。
「本質的な考え方」を示す
生徒が自習していようとも放置せず、常に気を配り、解説が不十分であったり不親切な場合は、あえて「研究」を切り上げさせて、こちらから個別指導により本質的な考え方を示しながら指導するようにしています。
「なぜそうなるのか」という核となる部分(本質)を理解してもらった方が、生徒の中に「あ、そういうことか!」という深い納得感が生まれ、結果としてその後の学習スピードが加速したり、応用問題にも対応できるようになるからです。
まとめ:個人塾の大きな強み
「まずは自分で考えること」の重要性は揺るぎませんが、そこに固執しすぎて生徒が袋小路に入ってしまうのは本末転倒です。
解説の良し悪しを見極め、「ここは自分で踏ん張るべきところ」「(グッと考えたら)ここは講師に質問するべきところ」という判断を、生徒も、講師側も、その感覚を磨くことが重要な学びの一部であると考えます。
実際この見極めが上手な生徒さんほど学力はどんどん向上されております。
こういった点に存分に注力できるのは個人塾の大きな強みですね。
なんでもインスタントに考えず、学びの質を継続的に高めるために、手間はかかり続けても、日々生徒一人ひとりの「質問の裏側」にある試行錯誤を見守っていきたいと思います。